一生モノ工場|セキスイハイム×PENコラボレーションプロジェクトスペシャルサイト

小山薫堂(放送作家)・谷尻誠・吉田愛(SUPPOSE DESIGN OFFICE)が考える「一生モノの住宅」とは

合理的かつ安心の設計と施工が可能、そして自由にアレンジできる「新しい住宅」……。そんなワガママを実現してくれる理想の家を求めて、放送作家の小山薫堂さんが、住宅メーカー工場へと視察に出かけた。これまでに数々の住宅プランを手がけてきた建築家、サポーズデザインオフィスの谷尻誠さんと吉田愛さんも同行し、目指したのは東京近郊にあるセキスイハイムの工場。「プレハブ」という日本がもっとも得意とする建築工法を駆使した、これからの住宅の可能性とは。放送作家と建築家が新しい住宅の方向性を考える。
セキスイハイム × Pen - セキスイハイムと雑誌「Pen」とのコラボレーションプロジェクト

VOL.01 工場見学編 いま建ててみたい「一生モノの住宅」とは。

小山薫堂さんが、サポーズデザインオフィスの谷尻誠さんと吉田愛さんを引き連れてやってきたのは、埼玉県蓮田市にあるセキスイハイムの工場「東京セキスイハイム工業」。全員が“工場でできる家”に、興味津々だ。

ムービー Vol.01 「工場見学」編

工場見学で、新しい住宅の方向性を考える

工場見学にきた小学生が、
大人になって家をつくったそう。
── 小山薫堂

小山
まずは、東京ドーム2つ分というその大きさにびっくりしますよね。このなかでフレーム組み立てから仕上げまで、家づくりの大半が行われているということなんですが、いったいどんな仕組みなんでしょう。
谷尻
工場の建屋のなかで普通に家がつくられていくというのは本当に驚きですよ。僕たち建築家が通常やっていることとは「正反対」と言ってもいいくらい。僕らは、雨ざらしの現場で大工さんたちと相談しながら、試行錯誤のうえで、工程をひとつずつ進めていくことがほとんどですからね。つまるところ職人の腕や現場監督の統率力に仕上がりを任せなければいけないところも多いんです。
小山
現場に行くと、ときに大工さんがさぼっていたり、タバコの吸殻をぽいっと投げ捨てていたりと、施主としても色々と気を揉むことが多いじゃないですか。でもここはすべての工程がきちんと管理されているので、安心感がありますよね。
吉田
工場内の5時間ほどの工程で、家一軒ができてしまうなんて、信じられない速さです。打ち合わせや細かな内装仕上げといった時間を換算しても、通常の工程とは雲泥の差がある。
小山
丈夫で長持ちというのも売り文句。ボックス型ユニットが上下左右に組み合わされることで建築基準法の1・5倍という耐震性(※1)が標準的に実現できるそうです。さらに構造を支える鉄骨のメッキは推定耐久年数が140年(※2)!だそうです。
※1品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)の等級3に標準的に対応。ただし、一部商品や特殊プランの場合を除く。
※2屋内環境の場合。国交省が認める耐用年数に関する特別評価方法による一般部。
谷尻
ひとつ気づいたんですが、工場内の室温が快適で過ごしやすいですね。
吉田
工場って劣悪な印象があるけれど、ここはきちんと設計されていますね。工程はシンプルにまとまっているし、作業現場もきれいに整頓されている。部屋の間仕切りパネルがずらりと並んでいるところなんて、まるで画材屋さんを見ているみたい。
小山
地元小学生の社会科見学コースにも入っているそうですが、なんでも子ども時代に工場見学をしに来た人が、大人になってここで家をオーダーしたという逸話もあるそうです。
谷尻
施主は、ライン上でいつ自分の家がつくられるのかを教えてもらえるというので、自分の家が完成する様子をこの工場のなかで家族と一緒にずっと見ていることもできますよね。
吉田
CMみたいなストーリーじゃないですか。泣けちゃいます。
ひと通りの工場見学を終えた3人。仮にセキスイハイムの高い技術と、サポーズデザインオフィスのアイデアを掛け合わせたら、どのような家ができるのか。膝を突き合わせながら、それぞれの思いを語りはじめた。

基本フレームの構造美も、
魅力のひとつですよね。
── サポーズデザインオフィス

吉田
そもそも薫堂さんが理想とする家ってどんなものなんですか?
小山
ずばり「集まった人たちが、みんな仲良くなれる家」です。みんなでぺちゃくちゃしゃべりながら一緒にご飯をつくって、良い景色を眺めながら食べているうちに、自然と仲良くなれるような空間。それと、豪華じゃなくてもいいので、友達や会社のスタッフなど、大勢で一緒に寝られるようなスぺースが欲しいですね。学生寮みたいな感じと言ったらわかりやすいかな。ちなみにお2人は工場見学をしてどんな印象を感じましたか?
谷尻
セキスイハイムの根幹でもある、基本フレームが、単体でも十分に格好よかったです。この構造美は、きちんとつくられているものの証とも言えるでしょう。
吉田
フレームがかなり頑丈だから、壁に筋交い(補強のために柱と柱の間に斜めに入れる部材)などに頼る必要がないので、結構な開口を取ることも可能。開放的なスペースをつくるのに適しているかもしれませんね。
谷尻
諸条件はあるようだけれど、ユニットの配置や組み合わせ方によって、いろんな家の形が考えられる。ちょっと思い切ったことをやってみたくなっちゃいます。
小山
一度建てたユニットを取り外して、移動させて、再築することも可能だと聞きました。
吉田
それは、システマティックにつくられたユニットだからこそできる仕組みですよね。家族間で交換したり、部屋を庭の方に移動させて茶室にしたりなんてことだってできちゃうかも。
谷尻
ユニットであるからこそ、新しい発想が生まれます。
小山
僕も本気で家を建てたくなっちゃいました。お2人が設計された尾道の「U2」(宿泊施設)なんか、すごくいいですね。先進的なセキスイハイムとサポーズデザインオフィスが組んだら最強の住宅が生まれそうです。とりあえず僕は土地を買っておきますから、プランニングしていただけないでしょうか? うまくいけば今年の紅白歌合戦をそこで観れるかも!
谷尻
通常だったら『絶対無理です』というスケジュールだけど、今回ばかりは可能性を感じちゃいます。
小山
それでは、どんなプランができるか、楽しみに待っています。

セキスイハイムは、大半を工場でつくる。

天候に左右されない完璧な建設現場
柱の断面図や接合の様子を見ながら、その巧みな構造に感動するメンバー。柱や梁は揺れに強い角形鋼管を使用。ユニット組み立ての作業が屋内なので、雨風など天候による部材の劣化などの心配は極めて少ない。自動制御によるロボットが要所を担当。右の画像は、柱と梁の接合部に使われる金物をロボット溶接している様子。精密かつ高い強度を実現するための工程。
スポット溶接機で、完璧な家を目指す。
無理のない体勢で作業ができるように、ユニットを上下反転させ、天井フレームを組み立てる。そしてユニットの各フレームを自動車工場などで使用する「スポット溶接機」で接合する。(※3) 設計通りの寸法になっているかはレーザースキャナーで測定。チェックするポイントは1ユニットで7万2千カ所。通路から見る家づくりは、料理している様子を眺めるオープンキッチンのようだ。
※3 溶接方法及び精度確認の方法は、生産工場により異なります。
セグメント化された、安心の施工プロセス
ベースフレームが完成したら、外壁の取り付け、いよいよ家の一部らしい見栄えに。キッチンや浴槽などの取り付けもライン工程のなかに含まれており、それぞれ専門の技術者が設置を担当しているので仕上げは正確だ。要望に応じて、設備をカスタマイズ可能だとか。「家づくりは専門的なことが多過ぎて躊躇してしまうけど、このシステムなら安心ですね」と薫堂さんもうなずく。
最終工程まで手を抜かない、完璧な家。
最後に経験豊富な専門スタッフによる厳しい検査が行われるが、工場におけるチェックポイントはなんと250項目にも及ぶ。まるで貨物を運ぶように、大型フォークリフトでトラックの荷台に家が積まれる様子はなんとも不思議。工場見学を終え、セキスイハイムの魅力を知った3人は、イメージを描きながら、具体的な家づくりについて意見交換。その結果は、小誌にて発表予定。

次回の予告

工場を見学し、インスピレーションがふつふつと湧いた3人のクリエーターたちは・・・なんと、セキスイハイムの工場技術を使って「理想の家」を設計してみよう!ということに。

→次回 Vol.2 に続く...

CONTENTS

プロフィール

放送作家 小山薫堂

放送作家 小山薫堂

1964年熊本県生まれ。大学在学中に放送作家デビュー。代表作に「カノッサの屈辱」「料理の鉄人」「東京ワンダーホテル」など。2008年に脚本を手がけた映画『おくりびと』では、第60回読売文学賞戯曲・シナリオ部門賞などを受賞。現在、BS朝日「アーツ&クラフツ商会」を企画・監修。「くまモン」の生みの親でもある。

建築家 谷尻 誠 / 吉田 愛

建築家 谷尻 誠 / 吉田 愛

SUPPOSE DESIGN OFFICE
ともに1974年広島県生まれ。穴吹デザイン専門学校卒業。建築やデザイン事務所での経験を積み2000年に独立(吉田は2001年に参加)。SUPPOSE DESIGN OFFICEを設立。独自の視点と自由な発想で、これまでに100棟以上の住宅設計に携わってきた。現在は広島と東京の2カ所に拠点を構え、住宅以外にも、国内外の多様なプロジェクトに携わっている。

写真:矢野紀行